俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 喉の奥から競り上がってくるような苛立ちすら覚えたがぐっと飲み込み、決して引けを取らないように言い放つ。

「あなたはいつまで経っても傲慢ですね。ずっと変わらない」

「まあな、それが俺だから。……だがいいのか? 劇団を救ってくれる可能性を無碍にするような真似をして。長年世話になり続けてきたんだろう?」

 このまま何もしなければ規定通り劇団は解散になるだろう。本当にそれでいいのか。
 玲二の言葉に団長や劇団の仲間たちの顔がちらつく。高校卒業と同時に所属した劇団スペードの仲間たち。互いに切磋琢磨し、芸能事務所から引き抜かれて今ではテレビドラマへ出演するようになった人もいた。皆、自分の未来のために努力し続けているのにその場所が不景気での赤字なんかに取り上げられていいものか。
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