俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「……花宮いつきはーー母は知っているんですか? この提案のこと」
数時間前に見た『ルナトーン』の広告のモデルの顔を思い出す。
「もちろん、本人も了承済みだ。花宮いつきが『ルナトーン』のイメージモデルを務めてからかなりの年月が過ぎた。長すぎるくらいにな。最近では新しい風を入れるべきだと広報部からの声も上がり始めている。これはいいきっかけになるはずなんだ」
「私に母のコネを利用しろってことですよね」
「違う、これは花宮いつきのコネではない。俺が推薦し、お前を当社の化粧品ブランドのイメージモデルとして起用したいと思っているんだ」
玲二の真摯な眼差しにどくりと心臓が脈打つ。仕事のことになると普段とは別人のようで、そのギャップに内心目を奪われる思いだった。私は冷静になれと言い聞かせ、心を落ち着かせた。