俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 遠藤は爽やかに微笑む。
 撮影がそろそろ始まる。監督やプロデューサーなど、多くの人が動いている中、私は手に持っている台本をもう一度読み返す。

 何度も読み込んだせいでヨレヨレになっている台本。セリフは何度も繰り返し読むことですでにほぼ完璧に暗記しているといえる。

 それでも落ち着かないのは本日の撮影でキスシーンがあるからだろう。劇団での講演でキスシーンのある役を演じることもあったが、やはり舞台と映画撮影では雰囲気も違うし緊張もひとしおだ。
 撮影2日目にしてキスシーンがあるなんて、緊張しても当然だろう。

 現場の端に置かれた椅子にかけ目を閉じ、深呼吸をしていると隣にかける人がいた。目をゆっくりと開け、その人物に視線を向ける。

「……大丈夫か? もしかして緊張してる?」

「遠藤くん……うん、ちょっとね。でも昨日の初日よりは全然マシだよ」

「昨日の花宮はカメラの外ではガチガチだったな。。……でもいざカメラを向けられると表情も変わって、さすがだと思ったよ。舞台で培った経験が生きてるなって思った」

 遠藤は柔和に微笑み、ながら続ける。
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