俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 長年花宮いつきの務めていた広告が世代交代するとならば世間で話題になるだろう。それに加え、新たなイメージモデルがその娘ともなれば、一層話題沸騰となるのは予想がつく。

「……でも、突然無名の私が『ルナトーン』のような有名ブランドのモデルに抜擢されたら、世間からのバッシングの嵐になるかもしれませんよ」

「ああ、それも加味しての提案だ」

 口籠る私に対し、玲二は不遜な面持ちで言い切る。鋭い双眸が射抜き、思わずたじろいだ私は隠れるように俯いた。

 昔からこの目が嫌いだ。
 玲二の自信たっぷりで挫折も知らないような傲慢な瞳が。私には手に入れらないほど真っ直ぐで。

 ふと、テーブルの端に置いていた私のスマートフォンが鳴り出す。思わず玲二に視線を送るが『勝手に出ろ』と言わんばかりに顎で指示をする。
 私は急いでスマートフォンを手にし、通話ボタンを押した。
< 21 / 291 >

この作品をシェア

pagetop