俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「おや、こんな時間にお客さまですか?」
「いえ、夜分に申し訳ありません。こちらに俺の妻ーーこはるがお邪魔していると聞いて尋ねてきたのですが……」
「ああ! 花宮くんの旦那さんですね。そうかそうか、あの子から話は聞いています。どうぞこちらへ」
初老の男性はおそらくこの劇団の団長か、その関係者だろう。俺の顔を知らないということは、こはるは劇団を俺についての素性を何も話していないに違いない。
男に案内されて、応接間と思わしき場所にたどり着く。コンコンと男が扉をノックし、「旦那さんが来たよ」と声をかけるとガチャリと扉が開いた。
扉の隙間からはひさしぶりに顔を合わせるこはる。胸の中からの何やら多くの感情が溢れてきて、どうしてだか手が震えた。
その部屋に足を踏み入れると案内をしてくれた男は一礼して去っていく。しんと静まり返った静寂を破ったのはこはるだった。