俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 母は昔を思い出すように遠い目をした。母は私のことを幼子とでも思っているのかと一瞬考えたが、その慈愛に満ちた瞳を見て違うと悟る。

「本当にこんなに大きくなったんだね。不思議なものねぇ、子供の成長は早いったらありゃしない。とは言っても、私はそんなこと言えるほどこはるちゃんに構ってあげられていなかったんだけど。……って、一体なにを言ってるのかしら」

「…………っ」

 母は自分の言葉に驚いたかのような面持ちをした。恐らく私も似たような表情をしているだろう。今まで生きてきた中で母の本音というものは一度も聞いたことがなかったからだ。

 母は私の前でも花宮いつきだった。
 演技をしていたというわけではないが、どこか距離を感じていたのは違いない。それは私だけでなく、母自身も感じていたことだろう。

 理由は簡単なことだった。私は生まれながらにして母子家庭で、シングルマザーとして私を育ててくれた。
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