俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 正直、なぜ私のアパート契約に関してそこまでこだわるのか分からない。契約妻の元の家がそんなに気に食わないのかと呆れてものが言えなかった。
 呆然と佇む私に居心地の悪さを覚えたのか、玲二は視線を逸らしながら口走る。

「元の家があるといつでも帰れるようになるだろ。……俺はそういうのは嫌なんだよ」

「……だからといって300万円を置いてくるなんて、いったいなにを考えているんですか。というか自分で言うのもなんですけど、このアパートの違約金がそんなにするはずなんてないですよ……もうお金を置いてきてしまったのなら、私が働いてお返しします」

「はあ? いらねえよ、そんなの。そもそも俺たちはこれから夫婦になるんだ。そういうのはもう必要ない」

 まるで拗ねた子供のように顔を背けた玲二に大きくため息をつく。これから彼と暮らしていくことに一抹の不安を覚えるのは致し方ないことだろう。
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