社長さんの溺愛は、可愛いパン屋さんのチョココロネのお味⁉︎
 バターと卵がふんだんに使われたフランス発祥のそれは、パンというより菓子パンに近い。

 イタリアでマリトッツォに使われているブリオッシュにはオレンジピールなどが練り込まれていて、フランスのものとは少し違うらしいのだが、くるみが取ってきたマリトッツォのブリオッシュは、どうやらフランス版レシピの方らしい。

 ノーマルな生クリームのみのものを手に取ってパンの部分をクンクンしてみたけれど、オレンジの気配は感じなかった。


(何にしてもクリームが邪魔じゃわ)

 なんて思ってしまう時点で、何か間違っちょるよねと思いつつ。

 クリームがつかないようにパンの部分だけをちぎって口に頬張ってみたくるみだ。

 口に入れた途端バターの芳醇な香りが鼻腔一杯に広がった。

「美味しい……」

 表面の照りに使われたものはもちろん、生地自体の断面もほんのり黄色み掛かっていて、たっぷり卵が使われているのが分かる。
 水を使わず、牛乳で成形しているというのが良くわかる、ほのかに甘いふわふわのパンだった。

(やっぱりオレンジの風味はせんけど……これ、うちでも作れるじゃろうか)

 というよりブリオッシュとして出すべきか、マリトッツォとして出すべきか。
 その辺も含めて悩ましいなと思ってしまったくるみだ。
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