一夜限りのはずだったのに実は愛されてました
「すみません。父は怒ってますよね?」

「いいんだよ。まだお怒りだけど、現実的に見てお見合いは断らざるを得ないんだから。他人の子を身籠ったまま嫁がせる方が不義理だろ」

そういうと正面から抱きしめ直してくれた。

「紗夜は心配しなくていい。俺が守るから」

拓巳さんがいるだけでさっき凍りついた身体がまた温かくなってきた。

「紗夜、お兄さんがお父さんに話してくれたってことは紗夜の理解者なんだよな?」

「はい。兄は断っていいと何回も言ってくれました」

「お兄さんとも話がしたいんだ。連絡つけてほしい」

私は頷くとスマホを受け取り、兄にメッセージを送った。

【赤ちゃんの父親が結婚してくれることになりました。さっきお父さんにも話してくれました。それで、彼がお兄ちゃんとも話がしたいと言うので時間のある時に電話をしてもらえる?番号は……です。迷惑かけてごめんなさい。紗夜】

「紗夜、大丈夫だよ。うまくいくから」

拓巳さんにそう言われると大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
< 29 / 53 >

この作品をシェア

pagetop