一夜限りのはずだったのに実は愛されてました
「どうしたらいいの?子供は絶対産みたい」

玲子は私の背中をさすりながら、一緒に考えようと言ってくれる。
玲子はいつもこうして同級生なのに年上のように頼りがいのある。だからそばにいるだけで心強く感じる。

「身体が冷えてるし、赤ちゃんのためにもお風呂で温まっておいで。用意してあげるから」

そういうとバスルームの準備に行ってくれた。

赤ちゃんのため……
玲子のいう通り赤ちゃんのことを考えたら拓巳さんと暮らすのがいいのかもしれない。
けどそうしたら私の心はどうなるの?
私の一方通行な気持ちは満たされない。
私たちは子供を介してだけの仮面夫婦になるの?
赤ちゃんのことを第一に考えると結婚するのがいいとは分かっている。

お風呂に入り、私はまだ見た目ではわからないペタンコなお腹をさすって、ダメなママでごめんねと心の中で謝った。でも頑張ってあなたを育てるからね、と誓った。

拓巳さんの子供だもん。
私の全てをかけてもいい。
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