一夜限りのはずだったのに実は愛されてました
***
紗夜はどうして急に結婚できないと言ったのだろう。
マンションが気に入らなかったのか?
俺が何か意に沿わないことを言ってしまったのだろうか?

やっと紗夜を手に入れたと思ったのに。

あの一晩は夢のような時間だった。
まさか紗夜が俺の腕の中にいるなんて、と嬉しさが爆発し自制が利かなかった。
結果、紗夜は俺の子を妊娠した。

紗夜の妊娠に驚いたが、これで紗夜はお見合いを断る理由ができたと俺は心底喜んだ。
紗夜は頑なに政略結婚を受けなければと思いつめていたが、そんなことはしなくていい。
家のことも全て俺に任せてくれ。
紗夜はただ、俺のそばにいてくれるだけで満足だ。
やっと、やっと紗夜が手に入ったのに。

子供は紗夜が1人で育てるなんてダメだ。
俺も一緒に育てたいんだ。
紗夜と3人で家族になりたい。

こんなに好きなのにどうしたら紗夜は俺のことを好きになってくれるのだろう。
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