独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる

「結子って、不思議だよね」

 ふと聞こえた言葉に反応して顔を上げると、すぐ傍に奏一が迫っていた。いつの間にかさらに距離を詰められていたらしい。

「俺と兄さん、見た目は似てるのに。身長も体重もほぼ一緒で、顔も声も同じ……コピーしたみたいにそっくりだって言われるのに」

 急な接近にびっくりして身を引くが、彼の口から零れた言葉は意外な台詞だった。

 質問の意味がよく理解できず首を傾げると、奏一が楽しげに笑う。

「昔から結子だけが、俺と兄さんの違いに気付くんだよね」
「……それは気付くわよ」

 小さな疑問の声を耳にして、ようやく彼の言いたいことを理解する。どうやら奏一は結子が心を開かない理由を『響一への恋心を捨てられていないから』と解釈しているらしい。彼の真剣な眼に『似てるのにどうしてダメなの?』と聞かれているように思えた。

 もちろん響一への憧れの気持ちが無くなったわけではない。だが彼はもう結婚してしまったし結子と奏一も結婚したのだから、見合いをした一カ月前に比べるとかなり諦めもついて開き直ったと思う。

 そんな結子の心境の変化は、奏一にはちゃんとは伝わっていないようだ。

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