独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる
奏一に『まだ好きなんでしょ』と以前の恋心を引き合いに出されて責められているように感じて、ついムッとしてしまう。
結子の淡い初恋と、結子と奏一の関係に進展がないことは、同一線上の話では無い。なのにすべてを一緒にして決めつけるのは筋違いだと思う。
「だって外見は同じだけど、中身は全然違うもの」
「……中身?」
「響兄さまは、奏兄さまみたいに遊んでないもん。真面目で努力家で、私のことからかったりしないし、私のこと褒めてくれるし、それに……」
「結子」
結子が奏一ではなく響一に憧れる理由は数えきれないほどある。二人は見た目こそ瓜二つだが、周りの人々への接し方……特に結子の扱いが決定的に異なる。だから見分けがつく、と言いたかっただけなのに、結子の言葉を遮る奏一の声は、聞いたことがないほど冷たい温度を纏っていた。
「そろそろ『奏兄さま』はやめようか?」
表情はこの上ないほど魅力的な笑顔だ。けれど一見すると人の良さそうな表情と異なり、目はまったく笑っていない。
「俺、もう昔なじみのお兄さんじゃないよ? ちゃんと、結子の夫なんだから」
「……でも」