美琴ちゃん、大丈夫?
私がひとしきり話し終えると、2人が神妙な顔で見合った。
「夢にしては妙に鮮明だし、リアルだね…。やっぱりパラレルワールド?」
「マジで…?こわ…」
…パラレルワールドとは。
歩さん曰く、
例えば誰かがペンを落としたとする。
そのあとペンを拾って生活していく世界が今の世界だとしたら、
ペンを落とさなかった場合や、ペンを隣の人が拾った場合の別の世界も複数存在している、という説があって
その別の世界のことをパラレルワールド、と言うらしい。
都市伝説みたいに思われているけど、実際に物理学の研究でもパラレルワールドがある可能性が語られてると言う。
もし本当にそこに行ってしまってたとしたら…怖すぎる。
帰って来れなかったら、こっちの世界の私…どうなってたの?
「…だとしても変ですよね?私病院で寝てたわけですし。やっぱり願望が夢に現れただけだと思います。」
うん。これでこの話はおしまい。なんか怖いし。
私はむいてもらったりんごを食べようと、フォークを手に持った。
「あのさ…」
純さんが口元に手を当てて眉間に皺を寄せてポツリと言う。
「俺に好意を寄せてたっていう長谷川さんの、下の名前って…?」
「えっと…ゆづきさんです。自由の由に夜の月で由月。」
純さんが目を見開いて固まる。
「えっ?なに?」
「その人……俺の会社の…」
そこまで言われてハッとした。