【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
しわの刻まれた堀の深い目元は何を企んでいるのか、全く読めない。

これだけの情報を与えられて、俺が察せないほど愚かでないことは、わかっているはずだというのに……。

とりあえず、会話が途切れたタイミングを逃さず、一歩下がり深く腰を折る。

「――そうですか……。裏から操作するような真似なんてしたことが“ありません”が。今回も、相手が辞退を申し出るとなれば仕方ありませんね……。ありがたいご縁、感謝いたします」

――企んでいるのか、それとも単に牽制をしているだけなのか。どちらにしろ無駄だ。

白々しく嘘を言いのけた俺は、お小言を背中で聞き流しながら、“当人”たちが来る前に役員室をあとにした。


『身近』の『理解してくれそうな女性』ねぇ……。

会長の言葉の端々から結びつくのは、ひとりしかいなかった。

彼女――國井 桜は、たまに訪れる本社で、唯一。無愛想で辛辣な俺と、笑顔で対話のできる女性だ。
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