【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
高飛車でシャーシャー突っかかってくる佐伯と、俺をあからさまに避ける他の女性秘書数名は当てはまるわけがない。
――無意識に浮上してきたのは、あのとき異様に脳内に留まった……五年前の記憶だ。
だが、そのとき、廊下の先のエレベーターホールから男女の声が耳に入る。
そろそろ就業時間か。俺はスッと、死角となる非常階段の入口に身を潜めた。
『今日の会議の時短については、任せきりだが大丈夫か?』
『はい、大丈夫ですよ。ファシリテーターと共有して予め備えてあるので、今日はいつもより早く――』
バタバタと近づいてくる足音。
思ったとおり、朝礼を終えた藤森と國井だ。いつもなら出迎える相手がすでに出勤してることで、小走りだ。
豪快で熱血バカな藤森とは入社当時からそりが合わず、顔を合わせればいがみ合いが常。会わないに越したことはない。