【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
いや、入っていない。立場柄というか癖というか。社内情報はもちろんのこと。秘書や上層役員のスケジュールもすべて頭の中に叩き込んである。
何より、ふたりの会長秘書は常に老体を気遣いスケジュールを取り決めている。長時間の会議のあとに予定を入れることは絶対ないし。あれば指摘するのが俺の役目だ。
というよりも、今の視線……。
「――」
おそらく……そうだろうな。
「――永斗さん」
「ん?」
声をかけると、俺よりもさらに高い位置にある、金髪碧眼の王子のような風貌がこちらを振り返る。
「会長が残るのであれば、私の方も室長と話したいことがあるのですが――」
これも嘘ではないが、できれば早めに不安の種を詰んでおきたい。
脳内でぐるぐる回るパトランプを見過ごすことはできなかった。