【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
俺が不可思議な感情に振り回されている間にも、素直な彼女は早くも答えを出したようだ。
「……そうですか」
後ろから強い視線を感じ、車を走らせながら一言に留める。
『――忠告はしましたよ』
あれから今にも卒倒しそうな彼女にそう告げ、秘書室をあとにした。
トマトみたいな顔で、鯉のようにパクパクとしていた彼女は、しばらく秘書室を出られる状況ではなかったな……。
真っ赤な國井桜を思い返すと、思わず口元が綻びそうになる。
本当に忠告なのか、なんなのか……。
「お前のことだから、永斗をうまく先に返して、早々に手を打ってきたんだろう?……だが、今回は負けて、トボトボわしの送迎を申し出た。そんなところか?」
出来事を振り返っていると、まるで見透かしたような物言いが飛んできた。
――なぜ、知って……
ピクリと弾みそうになる肩を留める。