【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
バックミラーからそれとなく視線を向ければ、「なーんてな?」と、おちょくってくる会長の真意の読めない眼とぶつかる。
すぐに意識を前方に戻しながらも、背筋の冷えが止まらない。
「……からかうのはやめてください……。会長からの縁談を無駄にしたことなんてありませんが……」
「どの口が言いおる、ひねくれめっ。まぁ、全てそれで押し通すつもりなら、それで構わん……。見合いにはわしが良いお店を選んでおく。すっぽかすような、真似だけはするなよ?」
「……承知しました」
いったいこのお節介老人は、どこまで勘が鋭いんだ……? まさか今朝の呼び出しは宣戦布告だとでもいうのか……?
いつもながらの黙認のやりとりに、少ししこりが残るが、とりあえず車を漆鷲邸へ進めることに集中した。
兎にも角にも。
あれから、どういう心境で彼女が会長に連絡をしたのかはわからないが……。