【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
冷静になってみれば、私が出さなければならない返事は明らかだ。
あとニ週間ちょっともすれば、彼は本社に赴任してくる。
気まずくなるのはいやだ。
彼とこれ以上気まずくなるくらいなら、私がそれとなく言うしかないよね。
会長の手前、島田さんからお断りはしにくいだろう。
「あの、会――」
「――会長」
しかし、意を決した私の声は、低く艶のある声に掻き消される。
ん……?
ぐるんと首を動かすと、いつの間にかコーヒーを飲み終えた島田さんが、セルフレームの眼鏡をキラリと光らせ、会長をまっすぐに見据えていた。
「なんだ? 島田」
そして、キョトンとする私と会長をよそに、薄い唇は優雅に弧を描いて、
「お言葉ですが、國井さんと私のことを心配する必要はありませんよ」
突然、理解不能なことをきっぱりと口にした。
どういうことだ……?
わけがわからず、仲良く首をかしげる会長と私。
「――と、言うと?」
言いますと……?