【書籍化&コミカライズ】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(離婚予定の結婚なのに〜)
 次に目を開いたときは、医務室の真っ白な天井が見えた。

 会長の計らいで、私は数日間の有給をもらってしまい。その後は、私生活でも仕事でも、いい意味で程よく手を抜くことを覚えていったと思う。

 藤森さんからは、しつこく謝罪を受けた。彼の指導は厚意なのはわかっていたし、むしろ私の体調管理の不届きだから気にしていないのに。

『つい熱が入りすぎて、申し訳なかった!』

 と朝イチの秘書室で泣きつかれるものだから、どうしていいのかわからなかった。

 そして、あの日から五年経った今も、私の気持ちはかわらない。

 出勤後、お礼と謝罪を兼ねて送った彼への社内メールに返事はなかったし。

 もちろん仕事以外で、会話をすることはないんだけれど。

 たまに本社にやってくる彼を、それとなく探したり。

 藤森さんの熱い絡みを聞き流す彼を見守ったり。

 永斗社長へのお遣い任務は、率先して私が申し出たりして。

 おかげで秘書室の親しい間柄の一部では、そんな私の動向が名物扱い。

 さっきみたいに面白がられている――。
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