村の偉い人のお告げで、神様のお手伝いの儀式はすすんだ。
 まず、手伝い人は体を清める。その後、白い衣装を身に纏い、境内で時が来るのを待ち続ける。その時に、手伝い人が逃げられないようにと、しっかりと両手足を束縛する。その時に、手伝い人が騒がないようにと、しっかりと猿轡をする。
 もし神様の手が空けば、手伝い人を迎えに来るだろう。もし神様が忙しければ、次の日にこちら側から手伝い人を送り出すための儀式を行うだろう。その儀式とは、手伝い人を火あぶりにすること。その魂が神様の住む天界にまで届きますように、と。煙に乗って天にまで逝けますように、と。

 今まで何回か行われた手伝い人の儀式では百発百中後者の方が選ばれた。
 だが、それが伝統的な神様の手伝いの儀式なのだ。村の民が神様の手伝い人となるための儀式なのだ。

「妹を失うことが怖かった」
 抱えた膝に顔を伏せる。くぐもった声。

 ――お兄ちゃん、またお父さんと喧嘩したの?

 ――私はお兄ちゃんが大好きだよ。

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