見ていなさい、と金色が言う。
 手を挙げ、空を仰いだ。月の光を全身に浴びると、金色はいっそう金色に輝いた。深く息を吸いゆっくりと吐く。すると、その足元の土がボコボコと音を立てて飛び跳ねた。
水が、生まれている。

 彼は目を疑った。だが、確かに水は乾涸びた田んぼを覆い始めていた。
 少年の足元にまでその水が押し寄せてきた。
 金色の人はこちらを振り向き、「そろそろ上がった方がいい」

 その田んぼから身を避難させ、水が満ちていく様子を眺めていた。
 乾涸びていた田んぼは、その姿に今日の月を写し出している。

 だがそれだけでは終わらなかった。乾涸びていた稲たちが、急に踊りだしたように成長し始めたのだ。田が青々とし始めた。だが、成長はそこで終わらなかった。ぱんぱんに膨らんだ稲は、穂を垂れ下げお辞儀をしているではないか。

 その作物の成長は田んぼにだけ見られたものではなかった。野菜や果物の畑でも、カラカラに枯れていたその土壌は、いつのまにか美味しいそうな実を豊富に携えていた。

< 14 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop