贄
そうだな、とその人は頷いた。「では、私と共に各地を転々としようじゃないか」
少年は頷いた。
それからちょっとだけ不思議に思っていたことを尋ねる。
「なぜお姉さんは、お姉さんの格好をしているんですか。先ほど、性別はないと言いましたよね。旅をするなら、男の人のほうが楽ではないですか」
「ああ、この外見か。こっちの方が便利だということに気付いたんだ。いろいろと食べ物ももらえるし、な」
「男の人から、よく物をもらったりしていませんか」
「よくわかったな、少年」
いたずらな笑みを浮かべた。
ある意味、詐欺だ。と彼は思った。
「少年よ、何をもさっとしている。さっさと行くぞ。夜が明ける前に、この村を出なければならないからな」
明けたら明けたで村人たちは驚くだろう。そのごたごたに巻き込まれる前にこの村を出ることは賢明な考えだ。
その人はすたすたと歩いていく。その後ろを駆け足でついていく。夜明けは近い。
陽が昇ると、村中は騒然となった。枯れ果てていた田畑が青々としているではないか。実が豊富にあるではないか。
村人は喜んだ。少年の両親も喜んだ。
だが少年の妹だけは、素直に喜ぶことができなかったのである。
少年は頷いた。
それからちょっとだけ不思議に思っていたことを尋ねる。
「なぜお姉さんは、お姉さんの格好をしているんですか。先ほど、性別はないと言いましたよね。旅をするなら、男の人のほうが楽ではないですか」
「ああ、この外見か。こっちの方が便利だということに気付いたんだ。いろいろと食べ物ももらえるし、な」
「男の人から、よく物をもらったりしていませんか」
「よくわかったな、少年」
いたずらな笑みを浮かべた。
ある意味、詐欺だ。と彼は思った。
「少年よ、何をもさっとしている。さっさと行くぞ。夜が明ける前に、この村を出なければならないからな」
明けたら明けたで村人たちは驚くだろう。そのごたごたに巻き込まれる前にこの村を出ることは賢明な考えだ。
その人はすたすたと歩いていく。その後ろを駆け足でついていく。夜明けは近い。
陽が昇ると、村中は騒然となった。枯れ果てていた田畑が青々としているではないか。実が豊富にあるではないか。
村人は喜んだ。少年の両親も喜んだ。
だが少年の妹だけは、素直に喜ぶことができなかったのである。