「団長、私の弟をいじめないでくれ。私たちは孤児院育ちで血はつながっていないんだ」
 お姉さんが言った。団長はすまなかったな、と言って坊主と呼んだ彼の頭を撫でた。それがなぜか温かくて嬉しかった。

 夕飯は団員のお姉さんたちが作ってくれた。お姉さんたちは、さすが踊りの一団というだけあってみな美人だった。けれど金色のお姉さんは、彼女たちと違う魅力があるということを、少年は知った。

「姉ちゃんたちは何故、旅をしているんだい?」
 団長は尋ねた。
「姉ちゃんのような美人さんと、坊主のような少年と。珍しいよなぁ」

 お姉さんはふふ、と笑った。
「本当の親を探しているんだ」
 言い、お姉さんはお酒を飲み干した。ここはお姉さんに任せておこう、と少年は思った。

 お姉さんの作り話はすすむ。孤児院育った自分たちは、優しい老夫婦に引き取られた。だが、老夫婦はその生涯を静かに閉じた。育ての親を亡くした二人は、本当の親を探そうとその町を飛び出たのだった。

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