彼女が家を出ようとしたとき、男が四人、彼女の家に入ってきた。

「失礼するよ」

「村長さま」
 神楽の母親が呟いた。そう呟いたので、思わずその場にいた全員が彼に視線を向けてしまう。

「神楽か。大きくなったな」
 見下ろすように、村長と呼ばれた男が神楽に声をかけた。
「村では日照りが続いているというのに、さらに食べ物も底がつきそうだというときに、お前はのんきに歌って各地を転々としていたのだろう」

 村長と呼ばれているだけであって、実は村長という仮面をかぶったただの悪玉の親分のように見えなくもない。

「そんなこと」
 ありませんと言おうと思った神楽だが、その言葉の続きを飲み込んだ。他人から見たら、そう見えるかもしれないと思ったからだ。

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