そしてその声は自分の心層深くにまで響き、その問いに答えなければならないような気にさせられた。少年はゆっくりと言葉を紡ぎ出した。

「本当は生贄に選ばれたのは俺の妹でした」

 雨が降らない。
 作物が採れない。
 蓄えていた食べ物も底をつきそうだ。
 村を守ってくれると信じられている神様にでさえ、存分な供え物ができない。

 村の中で一番偉い人物は言った。

 ――神様はお怒りだ。神様はお忙しいのだ。神様のお手伝いをする者が必要だ。

 良く言えば、神様のお手伝い。
 悪く言えば、生贄。

 本当に、誰でも良かったのだ。ある人が言った。

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