雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
 うれしそうに頬を緩めた進藤はキスすると、そばにあったデイバッグを引き寄せた。
 なにをするのかと思ったら、ポケットからゴムを取り出し、手早くつけた。

(なるほど。やっぱり慣れてる)

 私の脇に手を差し込み持ち上げ、向かい合わせにする。
 私が進藤に跨っているような姿勢だ。
 そして、ぬるぬると私の真ん中に自分のものを擦りつける。それが敏感なところに当たり、電気が走った。

「あっ、やぁ……ぅん……」

 私はその気持ちよさに耐えられず、進藤の首元にしがみついて、その肩に顔を埋めた。
 くっと笑った進藤は私の腰を掴み、ずぶりと深く突き刺した。

「ああっ!」

 脳が痺れる快感。なにこれ。気持ちいい。
 そう思ったのに、突き上げられるとそれ以上の快感が押し寄せて、私は喘いだ。

「あっ、やっ、やぁ、んんっ」

 腰を持たれて揺すぶられて、背中を逸らす。

「安住の中、やばっ。むっちゃ気持ちいいっ」

 興奮したようなつぶやきが聞こえる。
 進藤も気持ちがいいらしい。それはよかった。
 余裕のない彼の様子が小気味好い。

 ガツガツと奥を抉られ、揺れる乳首に、進藤が吸いついた。

「あっ、ああ、あああーーッ」

 私は進藤に胸を押しつけながら、達した。
 その拍子に彼もイったようで、私をギュッと抱きしめ、びくりと肩を震わせた。

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