極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 私と別れた後の衛士がどんな感じだったのか、初めて耳にする。

『でも帰国して未亜さんと再会して茉奈ちゃんの存在を知ってね。そこからの行動はすごかったのよ。衛士はどうしてもあなたと結婚したい、子どものことはもちろん、ずっと忘れられず想い続けていた相手だから認めてほしいって。反対なんかしないのにね』

 慶子さんの話に朝霧社長も同意する。今まで衛士に対する結婚話はなかったといえば嘘になるが、最後は本人の意思を尊重しようと夫婦で決めていたらしい。

 ちなみに杉井電産の経営については、最初父から朝霧社長に連絡があったそうだが、できれば次期後継者の衛士と話がしたいと言ってきたそうだ。

『めったに自分からなにか頼みごとをしない衛士が必死でね。少し嬉しかったの。初めてよ。よっぽど未亜さんと結婚したかったのね』

『今日、衛士を見て驚いたよ。茉奈ちゃんの面倒もよく見て、穏やかになったとでもいうのか』

 少し意外だ。知り合った頃から衛士ははっきり物申すタイプではあったが、元々穏やかなイメージを抱いていたから。

 慶子さんの視線が茉奈に注がれる。

『親に対してっていうのを差し引いても、かなり冷たくてツンケンしてたのよ。それがあんな幸せそうな顔をして笑うようになって……。未亜さんと茉奈ちゃんのおかげね』

 慶子さんの話によると、今でこそ穏やかな朝霧社長だが少し前までは仕事が生活の中心であまり家庭を顧みない人だったそうだ。

 衛士に対しては後継者ということもあり、とくに厳しかったんだとか。
< 118 / 186 >

この作品をシェア

pagetop