極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 重ねるだけの優しい口づけを幾度となく繰り返すうちに、衛士は私の下唇や上唇をそれぞれ食むようにして触れ方を変えていく。

 けれどけっして深いキスには移行しない。満たされていた気持ちの中に少しずつ焦らされているような苦しさが混じっていく。

 根負けしたのは私で、たどたどしく舌を差し出し、衛士の唇を舐め取った。すると待ってましたと言わんばかりに舌をからめとられ、激しく求められる。

「んっ……んん」

 巧みなキスに翻弄されている間、さりげなく衛士の腕が腰に伸びてきた。そのまま力を入れられ、体の向きを変えられる。

 横並びだったのにソファに足を乗り上げ、正面から抱きしめられて衛士のキスを受ける形になった。

 密着具合が増して、ますます衛士からのキスは遠慮のないものになっていく。唾液が混ざり合う水音が耳からだけでなく直接脳に響き、羞恥心で衛士のシャツをぎゅっと掴んだ。

 息が詰まって、舌先が痺れていく。けれど、もっとしてほしい。矛盾している気持ちに混乱する。

 ……違う。好きだから、こんなに求めてしまうんだ。

「ん……好、き」

 切れ切れに自分の想いを声にのせる。私の気持ちが、ちゃんと衛士に伝わってほしい。

 そのとき、背中に妙な違和感がある。衛士がワンピースのファスナーをさりげなく下ろしたのだと気づいたときには、素肌が空気に晒された感触があった。
< 122 / 186 >

この作品をシェア

pagetop