極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「ひとまず行こう。あっちに車を停めてある」
「い、いいよ! 車、濡れちゃう」
反射的に拒否するが、衛士は眉根を寄せた。
「そんなこと、どうでもいい」
「よくないよ」
弱々しく返すと衛士はやや呆れた顔になった。
「いくら未亜が、雨が好きだとしてもこのままはまずいだろ」
冗談を含んだ切り返しだったが、そこで考えが別の角度に移る。
「衛士は、体調……大丈夫?」
弾かれたように勢いよく質問をすると、彼は目を丸くした。思わず私は彼から一歩下がる。
「亜由美さんに聞いたの……衛士は昔から雨の日は調子があまりよくないって」
そこで私は気になっていたことを口にする。
「本当は紅茶も……印象派の絵も好きじゃないんだよね?」
緊張で口内が渇き、声が震えた。衛士はなんて答えるんだろう。
「そうだよ。とくに雨は嫌いなんだ」
激しい雨音の中、凛とした衛士の声ははっきりと耳に届いた。思わず彼を見ると、衛士は嫌悪感を滲ませてわずかに濡れた前髪を掻き上げる。
「濡れるし、車は混むし、気圧の影響で体調もあまり優れない。できれば外に出たくもない」
胸の奥が細い紐で締められたように痛む。心臓が暴れだして、指先が震える。
それなら、彼はここにこうしているのも不快なはずだ。今までのやりとりだって全部……。
さすがにショックで涙がこぼれそうだ。
「でも」
必死に堪えていると衛士がなにかを言いかける。次の瞬間、離れたはずの距離を縮められ、彼に左手を取られた。
「い、いいよ! 車、濡れちゃう」
反射的に拒否するが、衛士は眉根を寄せた。
「そんなこと、どうでもいい」
「よくないよ」
弱々しく返すと衛士はやや呆れた顔になった。
「いくら未亜が、雨が好きだとしてもこのままはまずいだろ」
冗談を含んだ切り返しだったが、そこで考えが別の角度に移る。
「衛士は、体調……大丈夫?」
弾かれたように勢いよく質問をすると、彼は目を丸くした。思わず私は彼から一歩下がる。
「亜由美さんに聞いたの……衛士は昔から雨の日は調子があまりよくないって」
そこで私は気になっていたことを口にする。
「本当は紅茶も……印象派の絵も好きじゃないんだよね?」
緊張で口内が渇き、声が震えた。衛士はなんて答えるんだろう。
「そうだよ。とくに雨は嫌いなんだ」
激しい雨音の中、凛とした衛士の声ははっきりと耳に届いた。思わず彼を見ると、衛士は嫌悪感を滲ませてわずかに濡れた前髪を掻き上げる。
「濡れるし、車は混むし、気圧の影響で体調もあまり優れない。できれば外に出たくもない」
胸の奥が細い紐で締められたように痛む。心臓が暴れだして、指先が震える。
それなら、彼はここにこうしているのも不快なはずだ。今までのやりとりだって全部……。
さすがにショックで涙がこぼれそうだ。
「でも」
必死に堪えていると衛士がなにかを言いかける。次の瞬間、離れたはずの距離を縮められ、彼に左手を取られた。