極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「そんなに俺と一緒に入りたかったのか?」

「……うん」

 ところが私の回答に衛士は狐につまされた顔になる。私は濡れた衛士のシャツをぎゅっと掴んだ。

「衛士が風邪をひいてもみんな心配するよ。私だって……」

 そこで言いよどんでしまったものの私は声を振り絞る。

「衛士が大切で……大好きだから、そばにいてほしい」

 言い終えた途端、彼に強く抱きしめられる。水面が跳ね、勢いよく溜まっていくお湯の音が耳についた。

「わかった。なら脱がしてあげるよ、奥さん」

 発言の内容がとっさに理解できない。思考が停止しそうなほど魅惑的な声で囁かれ、耳が熱を帯びる。

 そして衛士の右手が再び私のワンピースのボタンにかけられたことで、彼の意図を理解した。

「わっ、いいって。あっ」

 抵抗しようとしたが左腕は腰に回され、首筋に顔をうずめられる。生温かい感触に寒さではない理由で身震いした。

「や、だ。いや」

「相変わらず、弱い?」

 たしかめるように彼の舌が丁寧に肌の上を滑っていく。ざらりとした感触は独特で、吐息と合わさって刺激され胸が苦しくなる。

 その間も衛士は右手だけで器用にワンピースの前のボタンをはずしていった。

 すっかり前の部分ははだけ、浮力で水面に浮きそうになる裾を押さえるがほぼ無意味だ。

 かろうじて肩にひっかかっている部分で体裁を保っていたが、それも衛士の手により、撫でるようにして服をはぎ取られていく。
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