極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「待っ、て」

「遠慮しなくていい。未亜を脱がせるのは慣れてる」

 その言葉に顔が熱くなった。どうしていつも衛士ばかり余裕なんだろう。けれど付き合っていたときからそうだった。結局、彼には逆らえない。

 下着姿を晒すはめになってしまったが、恥じらう暇をこちらに与えることなく衛士はさっさとそれらにも手をかける。

 私は観念して彼にされるがままになった。彼の手が肌を滑って下着が脱がされるのを、極力なにも考えないようにして受け入れる。

 本能的に肌に貼りつく不快感を取り除きたいのもあった。その証拠に身ひとつになって体が軽くなり、ホッと息を吐く。

 衛士は脱がせた私の服をバスタブの横にまとめていた。存分に水分を含んだ生地は変色し、お湯の中のとは反対に重さを主張している。

 気づけば衛士はまだ服を着ていて、私だけがなにも身に纏っていない状態になっていた。

 それが羞恥心を増幅させ、とっさに距離を取ろうと彼から離れようと試みる。ところが逆に衛士に腕を引かれ引き寄せられた。

 水面が波立ち、勢いでバスタブにぶつかったお湯が音を立てる。

 衛士は逃がさないと言わんばかりに私の腰に腕を回し、私たちはすぐそばで向き合う姿勢になった。彼の射貫くような視線に耐えられず、わざとうつむく。

 そんな私の頬を衛士の濡れた手が優しく撫でた。

「相変わらず可愛いな、未亜は」

「か、からかわないで」

 衛士の顔が見えないまま抗議する。すると彼は、私の頬に触れたまま軽く唇を重ねてきた。
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