極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 そういえば俺の方こそ今まで自分の意思で誰かと付き合ったことはない。たいていは相手から声をかけられ、なし崩しに付き合いだすパターンが多かった。

 けれど未亜には通用しない。そんな軽々しく扱うわけにはいかないんだ。

「話も合うし可愛らしくて、デートに誘って、何度かふたりで会っているにもかかわらずどうやらまったく異性として意識されていないらしい」

「えっと……」

 わざと茶目っ気混じりに自分の想いを口にしてみる。未亜の戸惑いがありありと伝わってきて、なんだかおかしくなってきた。

 もしかしてこれは断られる可能性もあるのか?

 一抹の不安を抱えつつ、未亜の目を真っすぐ見つめる。

「俺は気軽に女性を家に誘ったりしない。未亜が好きなんだ。俺と付き合ってほしい」

 告白するのは、実はこれが初めてだった。わずかに緊張して未亜の返事を待つ。

「……はい」

 たっぷり間が空いたので、かなりやきもきさせられた。けれど未亜の嬉しそうな笑顔ですべて吹き飛ぶ。

 未亜といると、俺はこういう人間だったのかと改めて思い知る機会が多かった。彼女には俺の打算的なところも駆け引きもいい意味で通じない。

 真正面から向き合って想いを伝え合う。それがこんなにも心地よくて安らぐものだと知らなかった。
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