極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 今回、中心メンバーのひとりとしてやれたのは、未亜のおかげでもある。彼女と過ごして好きではないものが悪くないと思えるようになった。

 それにより、仕事で相手と意見が衝突したとき、自分とは異なる考えを受け入れるという姿勢に繋がった。

 以前の俺なら無理だっただろう。こういう性格を父も指摘して厳しく当たっていたのかもしれない。未亜から与えられたものはたくさんある。

 未亜に会いに行きたい衝動に頭を抱える。彼女はもう二度と俺には会いたくないだろう。下手をすればもう別の誰かと結婚しているかもしれない。それなら逆に踏ん切りでもつくのか。

「衛士、杉井電産の杉井社長がお前に会いたいと言っているらしいんだ」

 葛藤を抱えていたところに父から伝えられた内容は衝撃的なものだった。

 一体、杉井電産からラグエルに今さらどんな話があるのか。はたまた未亜に関係することなのか。

 ひとまず入院中の杉井社長の元を訪れる。彼から提案されたのは、杉井電産をラグエルジャパンに託したいというものだった。

 ゆくゆくは友好的買収という形を取ってかまわないと続ける杉井社長に、俺は慌てて他の方法を提示する。

 たしかに杉井電産の業績はここ数年落ち込み気味にあるかもしれないが、倒産したり買収されるほどでもない。杉井電産の名前は国内では影響力もありブランドとして成り立っている。

 しかし杉井社長は頑なだった。後継者がいないことも影響しているらしい。

 無理に血筋にこだわらなくても……。
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