極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 どんな再会の仕方であれ、ずっと恋い焦がれていた彼女に会えた。このまま引き下がれない。それにどこかで俺は確信していた。

 病室での未亜の表情、仕草、娘の話題が出たときの反応。それに――。

『けれど君は必ず娘に結婚を申し込む。絶対にだ』

 先ほどの杉井社長の言葉はこういうことだったのかもしれない。

 未亜を捉まえて子どもの件を尋ねると、やはり彼女は誤魔化そうとした。けれど未亜が嘘をついているのはわかっている。

 昔からそうだ。弱いところを見せるのが苦手で、全部自分で背負い込んで解決しようとする。でもそんな必要はないんだ、少なくとも俺の前では。

「未亜、嘘をつくな」

 確信めいて伝えると、彼女の瞳が大きく揺れた。

「衛士との子どもなの。別れた後に妊娠に気づいて、もう一歳七ヶ月に……」

 最終的に彼女は泣きそうな声で白状した。妊娠がわかったとき、彼女はどう思ったのか。どんな思いで生む決意をしたのか。

 ずっとひとりで抱え込ませてきたのかと思うと、胸が締めつけられる。

「未亜、悪かった。たくさん傷つけて、あんな別れ方になったこと。でも俺は」

「やめて!」

 聞きたくないと言わんばかりに拒否され、彼女は子どもに関することだけを告げると逃げるように去っていく。

 自分の中で折り合いをつけている以上、俺とは必要以上に関わりたくないのだろう。一方で俺は、未亜と再会して改めて思い知る。

 子どもの存在を知ったからだけじゃない。やはり俺は彼女が好きで、愛しているんだ。勝手かもしれないが誰にも渡したくない。
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