極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 未亜が過去に対しての言い訳も謝罪の必要としていないなら、態度で示していくしかないんだ。手っ取り早い方法なんて存在しない。

 少しずつでかまわないから、また彼女が寄りかかれる相手存在になりたい。

 強く決意したが、未亜の連絡先を聞きそびれたと気づく。杉井社長に聞くのが効率的かもしれないが、彼女と向き合うと決めたばかりだ。

 なによりすぐにでも未亜にまた会いたいんだ。

 自分の子どもと言われて対面したところで実感が湧くのかと多少の不安もあったが、未亜に連れられている茉奈を見て、言い知れない愛しさが込み上げてきた。

 未亜に似ているのはもちろんだが、自分の面影もしっかりある。茉奈を俺と未亜の子どもだとすんなり受け入れられた。

 子どもはどちらかと言えば苦手な方だが、自分の……未亜との子どもだとこんなにも可愛いのかと驚かされる。

 ずっと子どもは欲しくないと思っていた。自分と同じ境遇に身を置かせたくなかったからだ。

 決められた人生を歩かせたくない。その思いは未亜も同じだったらしく、改めてふたりで茉奈の意志に寄り添っていこうと話し合う。

 こうやって親として未亜と向き合うのはなんだか不思議な感じだった。

 その前に、どうしても別れたときのことをはっきりさせたくて話を切り出したら、未亜は眉尻を下げて困惑気味に微笑む。

「もういいよ、謝らないで。衛士と付き合っている間、私は幸せだったから」

 相変わらず彼女は他者に責任を求めたりしない。これで許されたと思っていいのか。本当はもっと俺に言っておきたいことがあるんじゃないのか。
< 182 / 186 >

この作品をシェア

pagetop