極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 茉奈は予定通り九時頃には、夢の中へ旅立った。和室の寝室と洋室のリビングはひと続きになっていて、部屋を分け隔てていた襖を取り払い、今はカーテンで間仕切りをしている。

 良くも悪くも気配が伝わるので茉奈が起きたらすぐわかるのがちょうどいい。その分音を立てないように気をつけなくてはならないけれど。

 残った家事や持ち帰った仕事をする貴重な時間だが、今日は落ち着かずソワソワしっぱなしだった。先ほど、必要以上にスマホを気にしているところに衛士からメッセージが送られてきたのだ。

 仕事が終わって今から向かうといった内容で、茉奈が寝ているからインターホンを押してほしくない私は、鍵を開けておくから勝手に入ってきてと返した。

 すると改めて連絡するから絶対に戸締まりしておくようにとすかさず返事がある。

 まったく。こういう心配性なところは変わらないんだから。

 蒸し暑さを解消するためエアコンを稼働し、寝室には直接風が当たらないよう配慮する。カーディガンを羽織ったタイミングでマナーモードにしていたスマートホンが震えた。

 相手は確認するまでもなく私は玄関に足を運ぶ。

「悪い、遅くなった」

「ううん。わざわざありがとう」

 本当に仕事帰りそのままといった調子で夕方会ったときと同じスーツ姿の衛士が現れた。その顔にはわずかに疲労感が滲んでいる。

 対する私は茉奈とお風呂に入ったので、半袖半ズボンのパジャマ兼ルームウェアを着ていた。
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