極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 距離を縮められ、衛士の真剣な眼差しが遠慮なく向けられる。

「俺と結婚してほしい」

 彼の口から紡がれた言葉に私はすぐに反応できなかった。そっと手を取られそうになり、反射的に払いのける。

「やめて。結婚とか責任を感じてほしくて茉奈の話をしたわけじゃない」

「わかっている。でも茉奈の存在がなくても未亜と結婚したいと思ってる」

 いつも冷静な衛士がわずかに切羽詰まった様子で返してくる。対する私の心は、彼を拒否するようにどんどん冷たく頑なになっていった。

「知ってるよ。父とそういう話になったんでしょ? それとも出会ったときからそのつもりだった? 私は杉井電産の社長の娘だから」

 衛士の整った顔がわずかに歪み、言い放った私の胸も締めつけられた。

 卑屈になって彼を責めたくない。でも言わずにはいられない。こんなふうに衛士に心乱されるのはもう嫌だ。

 やっぱり茉奈のためとはいえ、こうして会うべきではなかったの?

「悪かった。未亜を傷つけたのに、勝手なことばかり言って」

 心の中で自問自答していると、声のトーンを落とした衛士が、切なそうに訴えかけてきた。

「会ってもらえているだけで感謝しないとな。未亜が俺のことを嫌っているのも、恨んでいるのもわかっているんだ。でも俺は」

「そんなふうに思ってない!」

 自分でもびっくりするほど、即座に彼の言葉を否定した。衛士が驚いた顔をして、私自身も動揺する。けれどすぐに自分の気持ちに向き合った。
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