極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
別れてすぐのときは、彼と出会ったことを後悔した。けれど時間が経って、母親になり、彼との過去を完全に割り切れないものの少しだけ冷静に考えられるようになった。
もしかすると衛士も同じだったのかな? 彼もラグエルの後継者だって知られたくなかった? 私に、というよりそばにいる人間に。
当時の彼の気持ちを慮るが、それより今は未来の話だ。ところが話を戻そうとした瞬間、強引に肩を抱かれ、彼に抱きしめられる。
「ちょっ」
「もう未亜に嘘をついたりしない。約束する。後悔させない。だから結婚を承諾してくれないか?」
顔は見えないが、耳元で低く真剣な声で訴えかけられる。衛士の本気が伝わってきて、蓋をして閉まっていたはずの心が揺さぶられた。
どれくらい沈黙が続いたのか。イエスともノーとも答えられずにいる私に対し、衛士はさらに問いかけてくる。
「……もしかして誰か他に想いを寄せる男でもいるのか?」
あまりにも予想だにしていなかった質問に、私は弾かれたように顔を上げた。
「いない。いないよ!」
まさかそんな発想をされているとは思ってもみなかった。勢いよく否定したはずみで、至近距離で目が合う。面食らった衛士が目に映り、私は再び視線を落とした。
「衛士こそ、なんでそんなに結婚にこだわるの?」
尋ねてから愚問だと思った。元々、彼は真面目な性格だ。ラグエルの後継者だという体面だってある。
血の繋がった茉奈の存在を曖昧にさせるわけにはいかないだろう。なにより父とのやりとりだってある。
もしかすると衛士も同じだったのかな? 彼もラグエルの後継者だって知られたくなかった? 私に、というよりそばにいる人間に。
当時の彼の気持ちを慮るが、それより今は未来の話だ。ところが話を戻そうとした瞬間、強引に肩を抱かれ、彼に抱きしめられる。
「ちょっ」
「もう未亜に嘘をついたりしない。約束する。後悔させない。だから結婚を承諾してくれないか?」
顔は見えないが、耳元で低く真剣な声で訴えかけられる。衛士の本気が伝わってきて、蓋をして閉まっていたはずの心が揺さぶられた。
どれくらい沈黙が続いたのか。イエスともノーとも答えられずにいる私に対し、衛士はさらに問いかけてくる。
「……もしかして誰か他に想いを寄せる男でもいるのか?」
あまりにも予想だにしていなかった質問に、私は弾かれたように顔を上げた。
「いない。いないよ!」
まさかそんな発想をされているとは思ってもみなかった。勢いよく否定したはずみで、至近距離で目が合う。面食らった衛士が目に映り、私は再び視線を落とした。
「衛士こそ、なんでそんなに結婚にこだわるの?」
尋ねてから愚問だと思った。元々、彼は真面目な性格だ。ラグエルの後継者だという体面だってある。
血の繋がった茉奈の存在を曖昧にさせるわけにはいかないだろう。なにより父とのやりとりだってある。