極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 マンションは意外にもアパートに近かった。比較的新しい裕福層向けのデザイナーズマンションで、屋根付きの駐車場があるのは、こういうときやはり便利かもしれない。

 車を降りると、外は暑かったのに雨が降っているからか屋内だからかひんやりとしている。

 衛士がチャイルドシートから茉奈を下ろして抱きかかえたが、起きる気配はなく熟睡しきっていた。さらに衛士は荷物まで持とうとするので、それは私が引き受ける。

「寝ると意外と重いでしょ?」

 一歩先を歩く衛士にからかい交じりに声をかける。衛士は一度茉奈を抱え残して前を向いた。

「そうだな。でも未亜は、こうやって茉奈を抱えて荷物を持つのが当たり前だったんだろ」

 しみじみと呟かれ、私は目を伏せがちになる。苦労させたと思っているんだろうか。下手なうしろめたさはいらないのに。

 おとなしく衛士についていき、エレベーターに乗って部屋にたどり着いた。

 広い玄関は人感センサーで明かりがつく。がらんとしてまるで物がなく驚いたのも束の間、衛士はさっさと靴を脱ぐので私も慌てて続く。

「……おじゃま、します」

 小さく呟くと衛士が茉奈を抱いたままこちらを振り向いた。

「気を使わなくていい。茉奈はこのまま寝かせてかまわないか?」

「うん。お願い」

 衛士は寝室に足を運び、普段は衛士が使っているであろうベッドに茉奈を寝かせた。大きなベッドとの対比で、こうして見ると茉奈の小ささが際立つ。
< 74 / 186 >

この作品をシェア

pagetop