極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 茉奈も幸せそうで、私もひとりじゃないと心強かった。衛士と暮らすのは、家族で過ごすのはごく普通のことなのかもしれない。

「わかった。手続きの関係もあるし、すぐには無理だけれど、なるべく早く一緒に暮らせるように動くね」

 私の返答にどこか衛士が安堵した表情になる。続けて彼に同意を求める形で言葉を紡ぐ。

「茉奈にとっても、両親揃っていた方がいいだろうし」

 おそらく衛士は『そうだな』と返すと思ったのに予想ははずれ、なんともいえない神妙な面持ちになっている。

「……未亜は、今は泣いたりしないのか?」

「え?」

 唐突な彼の問いかけに、つい聞き返す。

「車の中での話。付き合っているとき、未亜は泣くのをよく我慢していたから」

「それは……」

 衛士に指摘され唇を噛みしめる。正確には泣かされていた。

 父にお見合いを無理やり勧められ、結婚を急かされてはよくぶつかっていた。仕事も社長の娘だからと色眼鏡で見られないように必死で、それでもなにかと言ってくる人は一定数いる。

 そんなストレスや痛みを笑顔で誤魔化してやりすごしていたのに、どういうわけか衛士には見抜かれていた。

『どうした、未亜?』

 彼のマンションを訪れ、のんびりふたりで過ごせると胸を弾ませていたら、突然衛士に尋ねられ、私は目を丸くした。

『なに?』

『そんな泣きそうな顔をして』

 続けられた言葉に一瞬、硬直する。けれど私はすぐさま否定した。
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