極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「俺も幼い頃から、どこにいってもラグエル日本法人の後継者だって言われて、勝手に将来を決めつけられて期待されていた。それが鬱陶しくて留学した面もあったから、未亜があえて杉井電産の社長の娘だって口にしないのも、仕事の話をあまりしないのも痛いほどよくわかったよ」
やっぱり衛士も社長子息として背負うものは大きかったらしい。偏見かもしれないが、彼は男性だから周囲のプレッシャーや決めつけは、私以上だったのかもしれない。
衛士はくしゃりと前髪を掻いた。彼の艶やかな黒髪が指の間を滑る。
「だからって、嘘をついていい理由にはならないよな。ただ朝霧なんて苗字はわりと珍しいから、名乗ればすぐにこちらの正体に気づくと思った。そうなったら未亜にとって俺はただの朝霧衛士じゃなくて〝ラグエルジャパンの社長の息子 〟だって認識されるだろうから」
それは否定できない。きっと父の手前もあって、衛士の素性を知ったら極力関わらないようにしていただろう。
衛士はぎこちなく私の頭に手を伸ばしてそっと触れる。
「もっと早くに言えばよかった。話すべきだったんだ。けれど未亜を好きになればなるほど、自分の正体を伝えるのが怖かった。俺には時間がなかったのに」
そこで思い出す、衛士はたしかアメリカにまた留学する予定だった。そして――。
「……衛士は、別の女性と結婚する予定だったんじゃないの?」
車の中で聞けなかった疑問をおそるおそる口にする。すると衛士は大きく目を見開いた。
やっぱり衛士も社長子息として背負うものは大きかったらしい。偏見かもしれないが、彼は男性だから周囲のプレッシャーや決めつけは、私以上だったのかもしれない。
衛士はくしゃりと前髪を掻いた。彼の艶やかな黒髪が指の間を滑る。
「だからって、嘘をついていい理由にはならないよな。ただ朝霧なんて苗字はわりと珍しいから、名乗ればすぐにこちらの正体に気づくと思った。そうなったら未亜にとって俺はただの朝霧衛士じゃなくて〝ラグエルジャパンの社長の息子 〟だって認識されるだろうから」
それは否定できない。きっと父の手前もあって、衛士の素性を知ったら極力関わらないようにしていただろう。
衛士はぎこちなく私の頭に手を伸ばしてそっと触れる。
「もっと早くに言えばよかった。話すべきだったんだ。けれど未亜を好きになればなるほど、自分の正体を伝えるのが怖かった。俺には時間がなかったのに」
そこで思い出す、衛士はたしかアメリカにまた留学する予定だった。そして――。
「……衛士は、別の女性と結婚する予定だったんじゃないの?」
車の中で聞けなかった疑問をおそるおそる口にする。すると衛士は大きく目を見開いた。