極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
「ん、俺も好きだよ」

 穏やかに答えられ、どちらからともなく唇を重ねる。

 幾度となく角度を変えて口づけを交わしていくうちにゆるゆると体の力が抜けていった。そのタイミングで衛士から舌を差し込まれ、ぎこちなく受け入れる。

「ふっ……ん」

 すぐに舌をからめとられ、より深く求められる。生き物のように巧みに動く彼の舌が口内を刺激していく。

「んっ……」

 鼻に抜けるような甘ったるい声が自然と漏れた。気にする余裕などなくキスに溺れていく。

 無意識に衛士にしがみつく手に力を入れると、彼は落ち着かせるように私の頭を撫でてくれた。こういうところは昔と同じだ。

 心の奥がじんわりと温かい。

 その間も衛士は器用にキスを続けていく。舌先で歯列や頬の内側まで刺激され、慣れない快楽にびくりと体が震える。

「んっ、んん……はっ」

 息をするタイミングが掴めない。初めてキスするわけでもないのに、鼓動が速く胸が潰れそうだ。

「未亜」

 キスの合間に切なさの交じる低い声で名前を呼ばれ、私もなにか返したいのに唇を塞がれ声にならない。

 いつのまにか頬に手を添えられ、もう片方の手は腰に回されている。腕の力が強くて、彼に支えられつつ逆に離れることを許されなかった。

「ん……もぅ……んん」

 そろそろ終わらせようと訴えかけようとしたが、衛士は止まってくれない。

 完全に衛士のペースだ。でも嫌な気持ちはひとつもなくて、脳も肺も酸素不足に陥る。吐息と唾液が混ざり合い、頭がくらくらして思考力が奪われていく。
< 92 / 186 >

この作品をシェア

pagetop