極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
 そっと唇が離れ解放された瞬間、彼と目が合い言い知れぬ恥ずかしさと体に力が入らず、隠すように衛士の胸に顔をうずめた。

 キスを終えてからの方が、脈拍が速くなり体温も上昇していく気がするのは意識の問題だろうか。

 肩で息をしながら呼吸を整えようと躍起になるが上手くいかない。

「素直な未亜があまりにも可愛いから、歯止めがきかなかった」

 降ってくる衛士の声から彼が苦笑しているのがなんとなく伝わってくる。私の頭を撫でている大きな手のひらの感触が心地いい。

 おずおずと顔を上げると、予想通りの衛士の表情があった。ホッとしたのも束の間、額にキスを落とされ、彼は真剣な面持ちになった。

「もっと未亜に触れたい」

 とっさに意味が理解できず、目を瞬かせる。続けて彼は私の首元に軽く口づけた。一瞬で肌に鳥肌が立ち、思わず体をすくめる。

 衛士の手はゆるゆると服越しではあるが私の体に触れ始めた。

「あっ」

 頭や頬に触れられるのとはまた違い、私の中で燻る欲を煽るような触り方だった。腰や背中、うなじに彼の手が滑らされ、緩急をつけて刺激を与えられていく。

「衛、士」

 名前を呼んで制止しようとするも本気で拒めない。でもここで彼を受け入れていいのかと葛藤もある。

 じっくりと背中側を撫でていた手が前側に伸ばされ、反射的に身を硬くした。それをほぐすかのように耳に唇を寄せられ甘く囁かれる。

「好きだよ」

 このタイミングでその発言はずるい。物申したいのに耳たぶを甘噛みされ、それどころではなくなる。
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