転生うさぎ獣人ですが、天敵ライオン王子の溺愛はお断りします!~肉食系王太子にいろんな意味で食べられそうです~
「それでもやっぱり信じられません。私を好きだということも、本当に差別をなくす意思があるのかも」
「……そうか。だったら両方なんとかして、信じてもらうしかないみたいだね」
 なにを言っても引き下がろうとしないレオン様に、私は根本的な理由を今一度伝えることにした。
「差別問題はともかく、何度言われてもあなたと結婚はしません。言いましたよね? 私、レオン様に興味ないんです!」
「そこまではっきり言われると、さすがの僕もちょっとこたえるんだけど……この一週間で、僕に対する気持ちは最初から一ミリも変わってないってことかな?」
 うーん。そう聞かれると、最初ほど怖くはないが、まったく怖くないわけでもない。婚約者になる気はないし、変わってないのと同じだ。
「はい。あなたがライオン獣人である限り、私がレオン様を好きになることはありえません」
 元々、自分たちを下に見てきた肉食動物獣人自体にいい印象はない。加えて前世で私を餌にしようとしたトラウマの相手を好きになる未来など、今の私には想像もつかない。
 そう言い切って、ぷいっとそっぽを向くと――ちょうど家に帰ってきたのか、ベルの姿が目に飛び込んできた。
「ベル!」
 名前を呼んで立ち上がり両手を広げると、ベルは私の声に反応して、庭を囲む柵を軽く乗り越えてくる。無事に帰宅したベルを、私は愛情たっぷりのハグでお出迎えした。
「おかえりなさい! 寂しかったんだから!」
「大袈裟だな……なんだ。王子が来ていたなら、別に寂しくなかったんじゃないか?」
「なに言ってるの! ベルの代わりなんて誰にも務まらないんだから、寂しくないわけないでしょう」
 さっきまで真剣な話をしていたというのに、ベルの帰宅によってこの場の空気は一変していた。
「リーズはずいぶんベルオムに懐いているんだね。ベルオム、君が羨ましいよ」
「……王子の俺に対する視線が怖いのだが」
 ボソッと小声でベルが呟く。私はベルに抱きついているので、後ろにいるレオン様の表情を確認することはできない。
「〝懐いている〟んじゃありません。私はベルか大好きなんです。ずっとずっと、一緒にいるんです! 私はあなたより、ベルとの結婚を望んでいます!」
「おいリーズ、よけいなことを言うな」
 後ろを振り返り、レオン様に言い返すと、ベルに注意を受けてしまった。
「なるほど。魔獣と獣人の結婚話は、世界的にも珍しくない話だ。……でも見たところ、ベルオムは君を恋愛対象には見てないように思えるよ。ベルオムとの結婚が叶わないのなら、ほかの人に目を向けるのもアリとは思わない?」
 恋愛対象に見ていない……そ、そんなの、私がいちばんわかっているからいちいち言わなくてもいいじゃない。
「今はそうだったとしても、この先どうなるかはまだわからないでしょう?」
「それは、僕とリーズもだよね? 君は今僕を恋愛対象に見ていないけど、この先どうなるかはわからないじゃないか。ライオンの僕を好きになる可能性だって――」
「ないです! 私、結婚するならベルか人間って決めてるんです」
 途中で話を遮り、私がそう言うと、レオン王子は「人間?」と首を傾げた。
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