転生うさぎ獣人ですが、天敵ライオン王子の溺愛はお断りします!~肉食系王太子にいろんな意味で食べられそうです~
 庭でレオン様と話してから、三日が経過していた。
あの日を最後に、レオン様とジェイドさんは村に来ていない。一週間婚約を断られ続け、さすがにあきらめた……いや、向こうが私に飽きたのかも。
 王子の訪問がなくなった村からは、すっかり活気が消えていた。
〝リーズはもったいないことをした〟と言わんばかりの、村人たちのちくちくとした視線が痛いが、そんな視線に気づいていないふりをしてやり過ごす。
「今日も平和な一日だったわ。やっと嵐が過ぎ去ってくれたってとこかしら」
 マリルーの家に遊びに行った帰り道、オレンジに染まった空の下をベルと並んで歩きながら、私は呟いた。
「もしかしたら、嵐の前の静けさってやつかもしれないぞ」
「まさか。もう私のことなんて忘れて、ほかの婚約者を見つけているわよ」
「だったら村でも噂になるはずだろう。押してダメなら引いてみろ、って言葉もあるしな」
 ベルは、レオン様は今〝引いている時期〟とでも言いたいのだろうか。……まぁ、また来る雰囲気を醸し出しておいてぱったり来なくなったことは、ちょっと気になるところではある。
「リーズのために、人間になる方法を必死で探しているんじゃないか? あの王子のことだから、そんな方法があるとしたらどこまでも飛んで行きそうだ」
 ああ、そんなこと言っていたわね。三日前のことなのに、現実味のない話だったのであんまり覚えていなかった。
「探してもむだよ。聞いたことある? 獣人が人間になるなんて」
「俺は今年で百五十歳になるが、一度も聞いたことがないな」
 ベルが聞いたことないなら、当然この時代を生きる私たちも聞いたことがない。
 この世にありえない方法を必死に探っているのだとしたら、そんな無駄なことは今すぐやめてほしい。 
「だが世界は広い。魔法だって存在する。方法がゼロとは言い切れない」
「だとしても、すぐ見つけるなんてことができたら奇跡だわ。大前提に、獣人の国の王子が獣人をやめるなんてこと周りが許すと思う?」
「それは……たしかにそうだな」
 ベルを納得させたところで、無事に家に到着した。ふぅ、と一息ついたところで、私は財布をマリルーの家に忘れていることに気づく。
「ごめんベル。忘れ物をしたから取りに戻るわ。帰ったら夕食を作るからいい子で待っててね。鍵は開けて行くから」
 返事の代わりに、ベルはふんっと鼻を鳴らした。

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