転生うさぎ獣人ですが、天敵ライオン王子の溺愛はお断りします!~肉食系王太子にいろんな意味で食べられそうです~
「ありがとうベル! かっこよかった!」
助けてくれたベルの頭を思い切り撫でると、ベルは気持ちよさそうに目を細める。
「災難だったな。あんな奴らにまで目をつけられて」
「うん。なかなか強烈だった。王都って、キャラの濃い獣人しかいないのかしら」
だとしたら、やっぱり村(ここ)より平穏な場所はこの国にないのかも。
「それにしても、王子はどこに行ったんだろうな」
「さあ……ジェイドさんが事情を知ってそうだし、無事ではあると思うけど。きっとそのうち、ひょっこり姿を現すわよ」
「それもそうだな」
心配な気持ちがないといえば嘘になる。だけど、私にできることはなにもない。
もう村に来ないとしても、せめて無事戻ってきたという知らせだけは早く届くといいな――。
なんて思った次の日。事件は起きた。
朝っぱらから、やけに騒がしい音がして目が覚める。
寝ぼけ眼のまま起き上がると、玄関をドンドンと叩く音が部屋中に響き渡っていた。こんなにうるさいのに、ベルは気にせず二度寝している。
「もう、こんな朝早くからだれぇ……?」
目を擦りながら、寝起きで警戒心がゆるみきった状態でドアを開けた。
「リーズ! おはよう!」
そこには、四日ぶりに見るレオン様の姿があった。
「レ、レオン様っ!」
一瞬で眠気は吹っ飛び、警戒心もマックス状態まで一気に上り詰める。
だけど……なんでだろう。今朝見るレオン様からは、いつもの恐怖心を感じなくなっている自分がいた。
「寝起きのリーズ、初めて見た。ははっ! 耳が垂れ下がってる。朝から得した気分だ」
「なに能天気なこと言ってるんですか! 聞きましたよ。失踪してたって……」
「大げさだな。ちょっと旅に出てただけだよ。現にこうやってちゃんと戻ってきただろう?」
「それはそうですけど……っていうか待ってください。今日のレオン様、いつもとなにか違いますよね?」
ドアを開けたときから、若干の違和感はあった。
いつもはどんなにさわやかな笑顔を向けられても、頭から生えるライオンの耳を見たらトラウマが呼び起こされていたのに、今日はそれがない。
……ん? 待って。そもそもレオン様に耳がないように見えるのだけど。それに、よく見ると尻尾も消えている。
「え、えぇぇ⁉ どういうことですかっ⁉」
「あ、やっと気づいてくれた? お望み通り、人間になってきたよ」
「人間になってきたって、いったいどうやって――」
言い切る前に、レオン様は私の腕を掴むと、そのまま自分の腕の中に私を閉じ込めた。大きなレオン様の身体に、小さな私がすっぽりと収まっている。
あまりに一瞬の出来事で、声を出す間もなかった。
――ゼロ距離にレオン様がいる!
ベル以外の異性に抱きしめられることなど初めてだ。しかも相手はライオ――いや、元ライオンのレオン様。
心臓はバクバクと加速し、体温も上昇していく。これは恐怖なのか、それとも……?
「っ⁉」
私がおとなしくしているのをいいことに、レオン様はぐっと私の腰を引き寄せた。互いの身体がさらに密着し、彼の香りに包まれる。
「……これでもう、〝俺〟から逃げたりしないよな?」
低い声で囁かれ、垂れていた私の耳は、ピクッと反応して起き上がった。
――俺? レオン様って、自分のこと〝僕〟って言ってなかった? 姿だけじゃなく、中身まで変わってしまったの?
恐る恐る、上目遣いでレオン様の顔を見上げてみる。腕の中ですっかり萎縮している私を見て、レオン様は今まで見たことのないような、意地悪な笑みを浮かべていた。
助けてくれたベルの頭を思い切り撫でると、ベルは気持ちよさそうに目を細める。
「災難だったな。あんな奴らにまで目をつけられて」
「うん。なかなか強烈だった。王都って、キャラの濃い獣人しかいないのかしら」
だとしたら、やっぱり村(ここ)より平穏な場所はこの国にないのかも。
「それにしても、王子はどこに行ったんだろうな」
「さあ……ジェイドさんが事情を知ってそうだし、無事ではあると思うけど。きっとそのうち、ひょっこり姿を現すわよ」
「それもそうだな」
心配な気持ちがないといえば嘘になる。だけど、私にできることはなにもない。
もう村に来ないとしても、せめて無事戻ってきたという知らせだけは早く届くといいな――。
なんて思った次の日。事件は起きた。
朝っぱらから、やけに騒がしい音がして目が覚める。
寝ぼけ眼のまま起き上がると、玄関をドンドンと叩く音が部屋中に響き渡っていた。こんなにうるさいのに、ベルは気にせず二度寝している。
「もう、こんな朝早くからだれぇ……?」
目を擦りながら、寝起きで警戒心がゆるみきった状態でドアを開けた。
「リーズ! おはよう!」
そこには、四日ぶりに見るレオン様の姿があった。
「レ、レオン様っ!」
一瞬で眠気は吹っ飛び、警戒心もマックス状態まで一気に上り詰める。
だけど……なんでだろう。今朝見るレオン様からは、いつもの恐怖心を感じなくなっている自分がいた。
「寝起きのリーズ、初めて見た。ははっ! 耳が垂れ下がってる。朝から得した気分だ」
「なに能天気なこと言ってるんですか! 聞きましたよ。失踪してたって……」
「大げさだな。ちょっと旅に出てただけだよ。現にこうやってちゃんと戻ってきただろう?」
「それはそうですけど……っていうか待ってください。今日のレオン様、いつもとなにか違いますよね?」
ドアを開けたときから、若干の違和感はあった。
いつもはどんなにさわやかな笑顔を向けられても、頭から生えるライオンの耳を見たらトラウマが呼び起こされていたのに、今日はそれがない。
……ん? 待って。そもそもレオン様に耳がないように見えるのだけど。それに、よく見ると尻尾も消えている。
「え、えぇぇ⁉ どういうことですかっ⁉」
「あ、やっと気づいてくれた? お望み通り、人間になってきたよ」
「人間になってきたって、いったいどうやって――」
言い切る前に、レオン様は私の腕を掴むと、そのまま自分の腕の中に私を閉じ込めた。大きなレオン様の身体に、小さな私がすっぽりと収まっている。
あまりに一瞬の出来事で、声を出す間もなかった。
――ゼロ距離にレオン様がいる!
ベル以外の異性に抱きしめられることなど初めてだ。しかも相手はライオ――いや、元ライオンのレオン様。
心臓はバクバクと加速し、体温も上昇していく。これは恐怖なのか、それとも……?
「っ⁉」
私がおとなしくしているのをいいことに、レオン様はぐっと私の腰を引き寄せた。互いの身体がさらに密着し、彼の香りに包まれる。
「……これでもう、〝俺〟から逃げたりしないよな?」
低い声で囁かれ、垂れていた私の耳は、ピクッと反応して起き上がった。
――俺? レオン様って、自分のこと〝僕〟って言ってなかった? 姿だけじゃなく、中身まで変わってしまったの?
恐る恐る、上目遣いでレオン様の顔を見上げてみる。腕の中ですっかり萎縮している私を見て、レオン様は今まで見たことのないような、意地悪な笑みを浮かべていた。


