別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
陸人さん以上に緊張している様子で、表情筋がピクリとも動かない。


「どうも、心春の父です」
「お邪魔しております。天沢陸人と申します」


立ち上がった陸人さんが挨拶をすると、コーヒーをテーブルに置こうとした母の手が止まり、父がなぜか目を真ん丸にした。


「天沢……?」
「はい。野上総合病院で救命救急医をしております。本日は、心春さんとの結婚を許していただきたくて参りました」


陸人さんが堂々と結婚の申し入れをしているのに、父は瞬きを繰り返すだけでなにも言わない。


どうしたの?
天沢の両親の反応にも違和感があったけれど、父や母も変だ。


「お父さん?」
「すみません。どうぞ座って」


父はようやく我に返って陸人さんを促した。


なんなのだろう、この雰囲気。

私たちの対面に母と一緒に腰を下ろした父が話し始める。


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