別れを選びましたが、赤ちゃんを宿した私を一途な救急医は深愛で絡めとる
「はい。私は救急を担当しておりますが、専門は形成外科でマイクロサージャリーという手術を得意としています。血管や神経をつなぐような細かい手術のことですが、ケロイドの治療もいたします」

「お父さん……」


母は父の顔を見て声をかける。
すると父が口を開いた。


「手術をするとひどくなる可能性があると聞いているが……」

「そうですね。ためらう医師もいます。ですが、放射線治療やステロイドの注射、あとは内服薬などを併用することで、治療成績がかなり上がっています。今の状態よりはよくできるはずです」


すでに話を聞いている私は、治療に前向きな気持ちでいる。


「そうですか。よかったね、心春」


母が涙ぐむので、私の視界もにじんだ。
陸人さんに出会って、人生を取り戻した気さえする。


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